この風に響け!知・技そして心
ごあいさつ

第33回日本超音波検査学会
学会長 戸出 浩之

 この度,第33回日本超音波検査学会の学会長を拝命いたしました群馬県立心臓血管センターの戸出浩之です.第33回学会は,平成20年6月14日(土)〜15日(日),群馬県前橋市の前橋市民文化会館にて開催させていただきます.

 私が学会長を務めさせていただきますのは,第19回(平成6年)に続き2度目のことになります.第19回の会場は東京・晴海と地の利がありながら,一般演題28題,参加者数373名というきわめて小さな学会でした.それでも演題数,参加数ともにそれまでの最高を記録したことを覚えております.わずか13年前のことです.それを考えると,昨今の当学会の隆盛には目を見張るものがあります.そう,超音波検査が世の中に登場にて50余年,当学会が発足して30年を超えましたが,それはまさに風に乗って大空を翔け昇ってきたような感があります.そして,その裏には超音波検査の装置や診断学の著しい発展と,それに携わる私たち技師全体の技術・知識の向上,社会的認知度や地位の向上があるのだと思います.しかし,これですべてが窮められたわけではありません.日々進歩する医療の中では,今に甘んじることなく,私たちはこれからも“超音波検査学”を探究していかなければなりません.そして,先輩から受け継いだこの“超音波検査学”をもっともっと大きく膨らませ伝えていかなければなりません.そのために,私たちはこれから何を学び,何を為すべきか・・・第33回学会がそんなことを考える機会のなることを望んでいます.メインテーマ『この風に響け! 知・技そして心』には,そんな思いも込めさせていただきました.

 今学会でまず一番に申し上げたいことは演題査読の導入です.これまで学会では,演題の採否はすべてが学会長に委ねられていましたが,第33回学会では,査読者(60〜80名を予定)による点数制の査読を行い,採否を決定いたします.学術集会の本来の姿は,日頃の研究成果について,発表者と聴衆が十分に討論し,研究の妥当性や価値を見出すことにあります.その意味で,そこに登場する研究は十分に練られたものでなければなりません.厳しい査読を通ってきた演題こそがその資格があるのだと思います.言い換えると,査読を通って発表することは,それだけで価値ある内容と認められたことであり,聴衆に何らかの影響を与えるものであるということです.今回の学会で発表される演者の方は,どうぞ胸を張り自信を持って堂々とご発表ください.

 特別講演には,日本心エコー図学会初代理事長であり,超音波担当技師に対し深いご理解をお持ちの吉川純一先生(現・掖済会病院院長)をお招きし,『これからの超音波担当技師に望む』と題しご講演いただきます.私たちがこれから進むべき方向についてご教授をいただけるものと考えております.また,公開講演としてNPO法人ささえあい医療人権センターCOMLの辻本好子先生に『今,望まれる医療とは』と題しご講演いただきます.聴衆には一般の方も交え,現在の医療の“心”の部分について,医療人と患者の双方の立場からお話いただきます.さらに,教育講演は3題を企画し,それぞれの分野のエキスパートの先生方に最新の話題についてご講演いただきます.

 併設のセミナーは,学会前日の13日(金)16:00〜19:00に「Previous Evening Lecture」として開催いたします.参加は無料ですが事前登録が必要ですのでご注意ください.学会期間中のランチョンセミナー,ファイアーサイドセミナーは例年のようにメーカー各社のご協力をいただき開催させていただきます.さらに,第3会場では各メーカーの最新の技術を解説,製品の有用性などについて講演いただく「新技術セッション」を企画しております.

 第33回日本超音波検査学会が皆様にとって実り多い学会になりますよう,実行委員一同が総力をあげて準備しております.多数の皆様のご参加を心よりお待ちしております.