平成14年度学術賞報告

平成14年度の学術賞が決定しましたので報告いたします.会長賞は学術賞規定に基づき1編を選考し,理事会にて承認されました.学術奨励賞は第27回超音波検査学会で発表された一般演題より選考した候補10編のうち,7編が論文として超音波検査技術に投稿されましたので学術奨励賞が確定しました.

なお,授賞式は6月1日,名古屋で開催した第28回超音波検査学会にて執り行いました.

<会長賞>

超音波検査法での健常者を対象とした頸動脈硬化について
―プラークと内中膜壁厚の経年的特徴からみた評価基準の検討―
 寺島  茂  相模原協同病院
(超音波検査技術第27巻4号218~225ページ掲載)

[授賞理由]

食生活の欧米化と人口の高年齢化に伴い動脈硬化性疾患が増加の一途をたどっている.頸動脈超音波検査は非侵襲的かつ短時間でプラークや狭窄の程度評価が可能なため,多くの施設でルーチン化されつつある.しかし,健常者の加齢変化に伴うプラークの出現頻度や,内中膜厚などについては明確な基準がなく,その評価に苦慮しているのが現状である.

本論文は475名という膨大な健常者を対象に加齢変化に伴うプラークの有無,IMT肥厚変化などを詳細に検討している.中でも注目すべきことは少数ではあるが40歳代や50歳代でもプラークが認められ,その理由を装置性能向上も関与していると指摘している点は大いに評価できるところである.

頸動脈エコーの有用性については多くの報告があり,今後あらゆる施設でルーチン検査として定着するものと思われる.本論文はそのタイミングや独創性において,今後数年間は動脈硬化判定の指標となりえる論文と思われる.

以上のことより本論文は会長賞に相応しいとして選考した.

<学術奨励賞>

  1. 成人男性における前立腺重量の年齢別推移
      中野 英貴  小張総合病院
  2. 石灰化上皮腫の超音波所見
      戸田 玲子  東海大学付属病院
  3. 目視による駆出率推定の検討
      塩川 則子  三井記念病院
  4. 肝細胞癌のRFA(cool-tip)施行によるUS像の検討
      諸戸裕美子  稲積公園病院
  5. 消化管疾患における造影エコーの有用性
      界外 忠之  岡波総合病院
  6. 体格を考慮した学童期の心筋厚,心機能の検討
      神宮字広明  東京都予防医学協会
  7. トレッドミル負荷心エコー法を用いた大動脈弁位人工弁の機能評価
      中島  哲  国立長野病院