御挨拶/President’s message

協調と分化 ”Cooperation and Differentiation”
さらなる飛躍へ Sonographers, be ambitious !

第37回日本超音波検査学会
会長 西田 睦

(北海道大学病院 超音波センター 副部長/検査・輸血部 副技師長)

 このたびの東日本大震災により被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。
 被災地の一日も早い復興をお祈り致します。


 さて、第37回日本超音波検査学会を平成24年6月1日(金)〜3日(日)の3日間、札幌コンベンションセンターにおいて開催する運びとなりました。 北海道で本会が開催されるのは1998年の第23回日本超音波検査学会細野明男会長以来、実に14年ぶりの開催となります。
 メインテーマは「協調と分化」と致しました。約50年前から臨床導入が開始された超音波検査は、今日では多くの領域で診断、治療に応用され、施行範囲も多岐に及び、さらなる専門化(分化)が推進されています。 その一方、Sonographer(超音波検査士;ソノグラファー)は社会における医療人として、医師、看護師などの異職種、他団体や超音波装置メーカーからの情報、指導、意見交換を行い、さらには国際的な視野をもった協調をはかることも重要です。このように協調と分化をバランス良く保っていくことにより、ソノグラファーとしてのさらなる飛躍が期待されるものと思います。北海道の地でソノグラファーがさらに飛躍する礎となる学会を開催することを期待し、クラーク博士の有名な言葉をお借りして、サブタイトルは "〜さらなる飛躍へ Sonographers, be ambitious! 〜" としました。

 学会企画は、シンポジウムIにて、私が大学院のメインテーマとして取り組みました膵管癌について、「膵管癌の画像診断 〜どこまで診えてどこまでの診断が必要か〜」と題し、現在の画像診断の最先端はどこまで診断できるのかを発表、討論いただく予定です。ソノグラファーとして “臨床に有用な情報はどこまでのレベルを目指して報告すればよいか” を学んでいただけるのではないかと思います。 シンポジウムIIでは「大動脈弁狭窄症 〜より正確な評価のために〜」と題し、その自然経過、手術適応、重症度評価および計測上のピットフォールについて発表いただく予定です。 またパネルディスカッションでは私の大好きな消化管領域、今回は「小腸疾患診断のストラテジー」について各画像診断に求められる所見とその解釈を活発に討論していただきます。 さらにワークショップでは、透析患者さんにとって命綱となる重要なバスキュラーアクセスの標準化について、透析に関わる異職種間の発表をもとに討議を展開する予定です。

 教育講演ではソノグラファーや学生の教育に日本で最も熱心な北海道大学大学院の三神大世教授に「右心を制するものは心エコーを制す」について、 学術講演では消化管エコー研究会の代表世話人で、尊敬してやまない川崎医科大学の畠二郎教授に「生理検査から画像診断へ 〜腹部エコーは1st. fiddleだ!〜」を、心臓領域では産業医科大学の尾辻豊教授に「左室・僧帽弁連関の重要性−虚血性逆流・機能性狭窄・逸脱・流出路閉塞−」についてご講演いただく予定です。

 また今回、欧州が最もすすんでおり、これから日本でも標準化が推進されるリウマチエコーについて御高名なイタリアのグラッシィ先生にもご講演いただきます。 基本となる教育セミナー(エデュケーショナルセミナー)も分化していくソノグラファーの専門領域にあわせ、各領域について行う予定です。

 前日の6月1日金曜日には "case treasure boxes(症例玉手箱)" として多数の症例提示を主体とした講演を企画しています。また学会は一般演題も多数募集し、活発な討論を期待しています。

 6月の北海道は本州と比較すると少々涼しいかもしれませんが、清々しい風がそよぐ一年で最もよい季節です。多くの皆様の演題応募と参加をお待ち致します。

平成23年6月吉日

第37回日本超音波検査学会
会長 西田 睦