特別企画紹介
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  シンポジウムT
『膵管癌の画像診断』〜どこまで診えてどこまでの診断が必要か〜
 座長 平野 聡 (北海道大学大学院医学研究科 消化器外科学分野U)
  西田 睦 (北海道大学病院 検査・輸血部/超音波センター)
 膵癌は予後不良な上皮性悪性腫瘍であり、本邦では肺癌、胃癌、大腸癌、肝臓癌についで癌死因の第5位を占める(2009年全国統計)。特異的な症状に乏しく、診断が容易ではない事から、発見時すでに進行癌であることが多い。膵癌の病期(ステージ)は腫瘍径、周囲臓器や主要血管(動・門脈)・膵外神経叢への浸潤の有無、リンパ節・遠隔臓器転移の有無からI〜IVb期に分類される。ステージは治療法選択を大きく左右し、治療成績や予後を反映する。ステージI〜IVaの症例に対して根治手術が行われるが、ステージIVa症例のうち血管浸潤や膵外神経叢浸潤が高度であるものや、ステージIVb 症例では化学療法を中心とした非手術療法が選択される。
 膵癌の診断は、存在診断と進行度(ステージ)診断からなり、US、CT/MRI、EUS、造影US、ERCPなどが主要なモダリティーである。中でもUSは無侵襲で簡便なことから、膵管癌のスクリーニング・存在診断において従来からその有用性を発揮して来た。特に、最近の装置の進歩は、これまでUSでの診断が困難であった膵外神経叢浸潤などの診断を可能にしつつある。一方、ソナゾイド造影USは、高周波プローブを用いることによって膵管癌でしばしばみられる微小肝転移の発見にも有力なモダリティーとなっている。
 本シンポジウムでは基調講演で膵管癌診療の概略を提示いただいた後に、高分解能画像となり診断能が飛躍的に高まった体外式USの有用性と限界についてご検討いただき、また、他の画像診断の特徴も理解し、病理組織像による疾患の再認識をしていただく事で、明日からの膵癌診療に直接役立つ内容となるよう企画した。多くの方々のご参加と活発なご討論をお願いしたい。



  シンポジウムU
『大動脈弁狭窄症』〜より正確な評価のために〜
座長 村上 弘則 (手稲渓仁会病院 心臓血管センター循環器内科)
  戸出 浩之 (群馬県立心臓血管センター 技術部)
 大動脈弁狭窄症(AS)は、人口の高齢化とともに急速に増加しており、日常検査で遭遇する機会もたいへん多くなってきました。ASの診断に心エコーが果たす役割が極めて大きいことは言うまでもありません。ASの手術適応判定や経過観察の鍵は、まずその重症度評価ですが、そこには、心エコー手技上の問題に加え、圧回復現象、低圧較差重症ASなど、さまざまなピットフォールが待ち構えています。また、虚血性心疾患や腎障害をはじめとする心臓内外の合併症の影響にも、気を配る必要があります。さらに、最近ではASに対する経カテーテル治療が注目されるなど、ASの心エコー診断はますます複雑になってきています。
 本シンポジウムでは、まず基調講演として、今日のAS診療の現況を俯瞰し、心エコーに課せられた役割を整理していただきます。次いで、ASの自然経過とともに、心エコーによる経過観察のポイントをお示しいただきます。心エコーによるAS重症度評価については、ASを過大評価する場合と過小評価する場合とに分けて、それぞれの問題点を列挙するとともに、これらにどう対処すべきかを論じていただこうと思います。最後に、これまであまり話題に取り上げられなかった問題として、左室流出路狭窄を合併するASの評価法や術後の流出路狭窄出現についてもお話しいただこうと思います。以上のさまざまな観点から、ASの心エコー評価の問題点をよく知り、その解決法を議論することによって、明日からのAS検査の精度アップと明晰な病態評価をめざしましょう。多数の方々のご参加と活発な討論を御願い致します。



  パネルディスカッション
『小腸疾患のストラテジー』
〜各画像診断に求められる所見とその解釈、他画像診断との対比〜
座長 加藤 元嗣 (北海道大学病院 光学医療診療部)
  長谷川 雄一 (成田赤十字病院 検査部)
 従来小腸疾患の頻度は少ないと認識され、その診断法も確立されていなかった。最近では小腸カプセル内視鏡の登場やダブルバルーン内視鏡、体外式超音波検査 (US)、小腸二重造影法などの検査法が小腸疾患の画像診断として行われるようになり、実際には小腸疾患が多いことも認識されつつあることから、大きな注目が集まっている。
 USは無侵襲、安価で患者さんに負担のない検査であることから小腸疾患に対しても充分に有用性を発揮できると考えられるが、一般に普及した検査法として確立されているとは言いがたい。そこで本セッションでは、最初に基調講演として、小腸疾患の中でも頻度の多い疾患について病変の組織像を提示していただき、小腸疾患についての知識を深める。次に、高分解能で鮮明な画像が得られるようになってきたUSでの臨床例の画像提示と画像所見の解釈を、base line USとソナゾイド造影USで提示していただく。次に小腸内視鏡/カプセル内視鏡、小腸二重造影について得られる画像の解釈とその診断能についてご発表いただく予定である。小腸疾患は日常、認識されることが少ない領域であるが、今後臨床からの依頼が増加することが見込まれる領域であり、是非このセッションに参加していただき、小腸疾患についての最近の他画像診断とともに多くを学んでいただきたい。多数の方々の参加をお願いする次第である。



  ワークショップ
『バスキュラーアクセス(VA)の評価と管理』
座長 春口 洋昭 (飯田橋春口クリニック)
  尾上 篤志 (高橋計行クリニック)
 血液維持透析を受ける患者数は年々増加しており、現在約30万人近くの患者が透析を行っている。透析の際には1分間に大容量の血液を体外の透析装置に送る必要があり、そのため通常は前腕に動静脈吻合を作成し、表在静脈を動脈化することによって、その血流量を確保している。それがバスキュラーアクセス(VA)である。透析患者数の増加、透析年数の長期化に伴ってVAのトラブルも増加しており、透析患者にとって命綱であるVAの維持と管理は重要な課題である。
 VA機能の評価には、従来から血管造影が行われていたが、最近では放射線被曝がなく、無侵襲でリアルタイムにVAの形態と機能評価ができる超音波検査を取り入れる施設が増加している。VAは非生理的な血行動態であるため、ソノグラファーが一般的な血管エコーの知識でVA診断を行うことは困難であり、透析医療に対する知識が必要とされる。
 VAの超音波検査は、血管内腔の状態(狭窄や閉塞の有無)や周囲組織の評価、ドプラ法によるシャント血流量の計測を行う。日本透析医学会によるVAの機能モニタリングガイドラインでも超音波検査は有用とされているが、施設間での手技、手法の標準化はなされていない。
 本ワークショップでは、まずケータイゴングを使用し、アンケート形式により各施設の現状や超音波検査によるVA評価の問題点などを認識する。それらを踏まえ、透析室で日々透析業務に携わる医師、看護師、臨床工学師らの情報、意見を元に超音波検査によるVAエコーの標準化について活発な討論を展開する予定である。これからVA評価を行う初心者にもわかりやすい、明日からのVA評価に役立つようなセッションとなることが期待される。


  市民公開講座
『乳がん早期発見への切り札』−超音波検査の取り組み−
総合司会 白井 秀明 (札幌ことに乳腺クリニック)
 近年、我が国の乳がん罹患数は女性の癌では1位であり、特に40歳代以上の女性にとって他人事では済まされない状況となっております。このような中、欧米各国では検診などの普及によって、その救命効果の向上が示されております。また乳癌検診における早期発見には、これまでの視触診のみでの検診から、マンモグラフィー(MMG)を併用した検診が有用であると言われており、受診率向上のために、これまでピンクリボン運動などが盛んに行われて参りました。
 しかし、未だ乳がん検診の受診率は7〜14%ほどと、欧米の70%以上と比べてかけ離れて低く、死亡率減少などに至ってはおりません。加えて、これまで日本人女性において、MMGのみによる検診に疑問の声が上がってきており、日本人女性に最も適した検診方法の確立の為、現在厚生労働省によって、40歳代の女性を対象とした“乳がん検診における超音波検査の有効性を検証するための比較試験”という大規模試験が行われております。
 このような現状を踏まえ、この度、乳房超音波検査とその有用性について学んでいただくための市民公開講座を企画いたしました。その中では特に以下の点について考えて参ります。
 ・ 乳房超音波検査とはどんな検査なのか?
 ・ この検査で何がわかるのか?
 ・ どうやって行う検査なのか?
 ・ どんな人が検査をしてくれるのか?
 以上を、全国の各施設で実際に超音波検査に携わっている方達のお話を通して、市民の皆様と一緒に学んでいきたいと思います。尚、市民公開講座であることより、ご参加は自由です。ご興味のある方は是非お越しくださいますようお誘い申し上げます。

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